錠前屋さん「さくら」で用いられる専門用語の解説です。その用例や関連するチョっとした”うんちく”も。
- カギ
カギ穴に差し込む側。
- 錠(前)
カギを差し込まれる側。
- シリンダー
錠前の部分の名称。キーを差し込み操作する、錠前本体に連結されている部品。カギ交換の最小単位。
- ディンプル(キー)
KABASTAR-neo、KABA aceなどに代表されるキーの表面に複数のくぼみ(ディンプル)があり、その深さ・形状によって錠前を作用させるキーのタイプ。
各錠前メーカーの製造する、ピッキング対策されたハイセキュリティな錠前の多くがこの形式を採用している。
【用例】:~シリンダー
- 抜き穴(孔)
主に家具、什器の錠前を取り付ける、表面の開口部のこと。
- 閂(かんぬき)
デッドボルト参照
- デッドボルト
閂(かんぬき)。扉に本格的な施錠状態をもたらすための金具。
「カギをかける」とはこのデッドボルトを作用させることを指す。
もともと平たい形状のスライドタイプがほとんどであったが、近年はKABASTAR-neo セーフティリムロックのように防犯性能を高めるために、こじ開け攻撃に強い鎌デッドボルトを採用するものが増えている。
- ラッチ
扉を”かかりどめ”させるツメ状の金具。ノブやレバーを操作すると出入りし、開閉することができるようになる。
- キーナンバー
カギの一部分に打刻される固有番号。メーカー純正キー、紛失キーの作成に必須。
- マスターキー(MK)
マンション・ホテル、施設にある共用のロッカーなど1つの物件に独立した複数の扉が存在し、それらをすべて施解錠できるカギ。使用者の権限に応じて存在する。
建物の場合、錠前メーカーがそのデータを物件・マスターキーナンバーごとに管理することが多い。
なお、俗に「純正キー」をこう呼ぶのは誤り。
- 純正キー
カギの頭(持つ部分)に製造メーカーのブランドロゴが入り、キーナンバーが刻印されたメーカーオリジナルキー。
本キー。真鍵。俗にこの純正キーの意味で「マスターキー」と呼ぶケースがあるが、それは間違い。また、「スペアキー」は純正キー・コピーキーを区別する呼称ではない
(純正スペアキー、コピーキーのスペアキー、ともに用法としては誤りではない)- コピーキー
合い鍵。複製キー。さくら上では「カギ作成」と表記し、純正キー作成と区別。
また、「スペアキー」は純正キー・コピーキーを区別する呼称ではない。- ブランクキー
カット加工する前のキーの素材。ブランク、ブランキー、生カギ。
【用例】:コピー~、純正~
- 錠前交換(取り替え)
扉にり付けられた錠前を取り外し、同寸法の交換用錠前セットを扉は無加工のまま取り付ける作業。交換作業でも扉への加工が必要な場合は錠前取付と呼ぶ。
- 錠前取付
1ドアー2ロック化工事のために扉および枠を切削加工しKABASTAR-neo・セーフティリムロックをはじめとする補助錠を追加設備すること。
もしくは既設の錠前交換時に、廃番などの理由から同寸法のものでの交換が不可能である場合、メーカー品番問わず扉および枠を切削加工および化粧板施工などを駆使して再び対象のドア・枠を施解錠可能な状態に設備する作業。- カムロック
カムと呼ばれる施錠掛け金を使った錠前をカムロックと 呼ぶ。
掛金部は、英語のLocking Camから、カムと呼ばれる。スチール家具に使用される錠前の施錠方式はこのカムロックによる施錠。
「レバー」や、「タング」など、メーカーによって呼称の違いがあるが、さくらでは「カム」および「カムロック」にて統一する。- 耐火金庫
耐火材で火災による庫内温度の上昇を防ぎ、庫内の物品を熱から守る構造の鋼鉄製の保管庫。
耐火材とは「温度の上がりにくい固形物」で、金庫の扉を含め全面に充填されている。
現在は水と気泡を含んだ「発泡コンクリート」が使われている。 古くは砂、ケイソウ土、アスベスト(石綿)が使われていたが、現在では砂、ケイソウ土は耐火力が比較的弱く、アスベストは人体への悪影響が懸念されるため使用されていない。(なお、「さくら」では一時期製造された”アスベスト使用金庫”の適切な廃棄処分についてのご相談をお受けしております)
- (金庫の)耐火時間
JIS規格により、金庫の耐火性能は0.5時間・1時間・2時間・3時間・4時間の5種類を定められ、性能表示はそれぞれの時間の耐火試験に合格した能力で表示されている。
通常、市販金庫の耐火性能は「一般紙用耐火金庫(庫内温度177度以下)」としての耐火能力であらわされ、「さくら」にて取り扱う金庫の「〇時間耐火」はこの基準での耐火時間を表している。
高温に弱い「磁気テープ」などの保管にはさらに高い耐火能力が求められ(庫内温度66℃以下、湿度85%以下)るが、あまり一般的ではないので、本項では割愛する。- (金庫の)耐火試験
一般的な家庭用金庫に対しておこなわれる標準加熱試験のほか、業務用金庫では、より高い水準の能力をためす「急加熱・衝撃落下併用試験」が存在する。その概容は次の通り・・・
①空の状態の試験用加熱炉をあらかじめ1090℃以上に加熱
②①に素早く試験体(金庫)を入れる
③急加熱~1200℃をおこなう。
④2時間耐火以上のものは急加熱後、試験体に破裂がなかったことを目視確認し、自然冷却後に再度追加熱試験をする。
⑤①~④終了後、素早く試験体を加熱炉から引き出し、9.1mの高さまで引き上げてコンクリート基板上の50cm以上に積み上げたレンガ床へ落下させる。
⑥落下試験後、試験体を天地逆にして再び試験炉に入れ、規定に基づき再加熱する。
⑦以上すべての試験終了後、加熱炉の火を止め耐火金庫の庫内温度が下がるまで炉内冷却を行う。
⑧炉内冷却後加熱炉から取り出した金庫の外部の状態や内部のテストピースの状態を調べる。- (金庫の)防盗性能試験
金庫に対する破壊行為への耐性。対工具試験合格の金庫には「TS-〇〇」もしくは「TR-〇〇」、耐鎔断・工具試験合格の金庫には「TRTL-〇〇」(〇〇には15~60分の時間を表す数字)の記号が表記される。
さまざまな評価基準はあるが、概要としては時間内にその手段を用いて開扉されない事、または庫内に通じる直径100mm以上の貫通孔をあけられない事などを試験・判定するもの。ちなみに家庭用の高さ60cm前後・100㎏程度の重量以下の大きさの金庫では、この防盗性能試験を受けているものはほとんどないが、そもそも金庫破りの手口として家庭用金庫に対し、上記のような鎔断・破壊行為を受けることはほとんどありえないため“その能力を求められていない”ことが理由である。
家庭用金庫においては装備されたロッキング装置の持つ不正開錠に対する効能や、ディンプルキーシリンダーなどのピッキング対策錠を採用していること。そして何よりも、目立たない場所・容易に持ち去られない場所に設置する対策などが重視される。